いつも私のおでこに貼られていたのは、「半額」と書かれた値引きシールだ。
そう気付いたのは、いつだってワゴンの中に放り込まれていた事や、棚に陳列してもらったことすら無かった事に、ようやく気付いたからだった。
私をレジまで連れて行ってくれた人たちは皆、「安かったから」と口にした。「正規の値段だったら買わない」とも言っていた。
そんな言葉を聞きながら、私は買い物カゴの中で泣いていた。
そんな時も、綺麗に並んでケースに入っているイチゴや、可愛らしい包装の焼き菓子たちは、楽しそうに隣で笑っていた。
ある日、新しく入ったばかりの店員さんが、私たちのシールを張り替えていった。
今日もまた、いつものシールが貼られているに違いない。
私はまた、買い物カゴの隅で悲しい気持ちになって、袋の中に放り込まれるんだろう。
だけど、今日は何だか様子が違った。
私は、いつものワゴンとは反対方向の棚のほうへと運ばれて行った。
そこには、今まで見たことのない、綺麗に掃除されたピカピカのショーケースがあって、おでこにはいつもと少し違ったシールが貼られている気がした。
おでこの上の方が少しくすぐったくて、薄いピンク色のリボンが揺れているみたいだった。
それに、こんなピカピカのショーケースの中に並べてもらっている。
だけど、自分のおでこに貼られているシールを見ることはできない。
私が買い物カゴに入れてもらった時、「このキャンディは、特別な時くらいしか買えないわ」と話す声が聞こえた。
すぐに自分のことを話していると理解できなかったけど、買い物カゴには私しか入っていなかった。
嬉しくなった私は、いつもみたいに買い物カゴの片隅で泣いていた。
床に落ちた涙の粒に映っていたのは、可愛らしい包装紙を纏った自分の姿だった。
そのことに気づいた時、私が泣いていた本当の理由を知った。

