春を感じる暖かな午後。
優しい光の中を、
いつものように愛犬と散歩した。
よく晴れた青空に、ゆったり浮かぶ雲。
楽しそうに歩く愛犬の後ろ姿。
いつもと変わらないはずのこの道には、
春の花もたくさん咲き始め、
蝶々も嬉しそうに飛んでいた。
何もかもが穏やかに見える世界で、
私だけが
季節に取り残されてしまったような気がした。
こんなにも穏やかで優しい世界の中を、
ただ涙を流しながら歩くことしかできなくなっていた。
せっかく綺麗なお花が咲いているのに。
知らないお花をまた見つけられたのに。
溢れてくるのは喜びではなく、
涙だけだった。
足元に広がる小さな花を覗き込んでみると、
地面にはポタポタと涙の色が広がっていった。
こんな素敵なお花を見つけたよ。
こんな蝶々がいたよ。
そんな気持ちを、誰にも伝えられない。
世界があまりにも美しすぎて、
もう、まっすぐに見続けることが難しいのかもしれない。
「大丈夫、何もかも、きっとうまくいく」
そう小さく呟いてみても、
もう私の心の奥に、魔法はかけられなくなってしまったらしい。
2026年2月24日 いつもの散歩道

