🎄『初霜』 12月2日

朝起きるのが苦手な私は、布団から起き上がり、とりあえずテレビをつけるのが日課だ。

部屋の中に人の声が響くと、少しずつ目が覚めていく気がするから。


コーヒー用のお湯を沸かしながら歯を磨く。頭は半分以上まだ寝ている。

昔思い描いていた20代の生活とは程遠い毎日を過ごしている自分が嫌になる。


部屋のテレビからは、今日の天気を告げる女性の声が聞こえてきた。

「今朝、関東で初霜が観測されました。東京都心でも最低気温4.9℃を記録しており、今日は今季一番の冷え込みとなりそうです。マフラーや手袋など、温かくしてお出かけください」

台所から部屋のテレビを覗いてみると、キラキラの笑顔の女子アナがこちらを見ていた。


私はすぐに勝手口のドアを開け、パジャマのままの自分を両手で抱きしめながら外に出た。

ピンと張り詰めた空気が、一瞬で私を包んだ。

しゃがみ込んだ足先の落ち葉は、銀の縁取りをして、冬が本当に来たことを教えてくれていた。

20代最後のクリスマスは、いつもより背伸びをして、とっておきのプレゼントを買おうと決めた。

こんなところで、いじけている場合じゃない。

私の奥で燻っていた気持ちに、冷たい空気が入り込んで、小さな炎が灯った気がした。


*この物語は、2025年12月2日に note と X に投稿したものを転記しました。

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