短編– category –
短い文章の創作物語。
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短編
ラベルシールの張り替え
いつも私のおでこに貼られていたのは、「半額」と書かれた値引きシールだ。そう気付いたのは、いつだってワゴンの中に放り込まれていた事や、棚に陳列してもらったことすら無かった事に、ようやく気付いたからだった。私をレジまで連れて行ってくれた人た... -
短編
扉
「そんなこともあったよね」と、笑い合える日が、いつか来るかもしれない。そう信じて生きてきたけれど、多分この辺りは人生の折り返し地点。 あの人たちが、どこで何をしているのか、知る術すら持たない私は、そんな日が永遠に来ないことくらい、とっくに... -
短編
涙の理由
いつだって 必ず守ってあげるから、 もう心配しなくていい。 ずっと側にいるよ。 そう言って、 そっと抱きしめてくれた君は、 いつだって一番近くにいてくれたはずなのに、涙で滲んで見えなくなっていた。 ひとりぼっちじゃなかった。そう感じられた瞬間、... -
短編
Traveler 〜宇宙への旅〜
世界の光は、いつも突然閉じてしまう。 その瞬間、宇宙空間に放り出されていた。 ここがどこなのか、どうすれば元の世界に戻れるのか、考える余裕も無く、ただ、助けを求めて叫ぶことくらいしか思いつかなかった。 けれど、私の声は誰にも届かない。 そう... -
短編
輪郭
ねぇ、聞こえている?どこかに届く前に消えてしまうほど、小さくて自信のない声で問いかけた。今の私には、これが精一杯だった。ここにいることを知ってほしかった。少しだけで良いから、私に微笑みかけてほしかった。 私はずっとここで、あなたの名前を呼... -
短編
Reason for Tears
Whenever I try to hug the person I love, I always end up hurting them. I never want to hurt anyone again. So the only solution I can find is to lock myself in a glass case and lock myself in a dark, empty room. There is only one small wi... -
短編
記憶システム
いつだって、誰かの声が呼んでいてくれたような気がする。それは、強い引力のような、逆らえない重力のような強さで、私を引き寄せてくれていた。それが気のせいだったのか、現実だったのか、確かめようもない。ただ、私がそうだったと信じてさえいれば、... -
短編
世界のはじまり
小さな自分の世界を広げたくて、あの時私は、泣き叫びながらここに生まれたんだろう。誰もいない、真っ暗でとても狭い世界。音や、振動、気配は感じられるのに、そこではいつも、ひとりぼっちだったから。もう一人は嫌だと、決意した瞬間があったんだろう... -
短編
日常 - Flower Field Story –
みんなの幸せを祈りながら、みんな幸せの邪魔をしていた。定員オーバーになったエレベーターみたいに、私が降りるだけで、みんなは幸せの方に上がっていけた。私はいつも階段を登ってきたのに、間違えてエレベーターに乗ってしまったから、みんなを困らせ... -
短編
私は今日も生きている、
目を覚ますと、時計はもう昼の12:00を指していた。窓の外は晴れ、暖かそうな陽射しが部屋に差し込んでいる。 足元には、手足を伸ばしてお腹を見せたまま寝ている愛犬がいた。 部屋に響くのは、水槽の水が循環する音だけ。 水槽のメダカたちは、今日も元気... -
短編
小さなチャレンジのあとがき
今回、こうしてブログに転記することで、2025年12月に書いた小さな物語たちを、あらためて読み返せた。 クリスマスが待ち遠しくなるアドベントカレンダーみたいに、毎日1話ずつ、小さな物語を開いて読めたら楽しそう。 そんな思いつきで書き始めた、「つぎ... -
短編
🎄『ホワイトクリスマス』 12月24日
今にも雪が降り出しそうな、分厚い雲に覆われた夜空は、街の明かりを吸い込んで、仄かに薄いグレーの光を放っていた。月の見えない空を見上げ、しんと静まり返った街を見渡しながら、つめたく冷えた手を合わせ、そっと息を吹きかける。この街の人たちが、... -
短編
🎄『Just I love you』 12月14日
"10 carats眩しく輝くダイヤの指輪は君の誕生石100 Roses花束に甘い台詞のリボンをかけて雪の降る夜君を迎えに行くよ柔らかな髪から漂うのはA perfume of fond memories君の愛したあの人が好きだと言った香水の香りお気に入りのドレスに着替えたら君を街に... -
短編
🎄『最後の贈り物』 12月13日
一日の終わりにはいつも、冷たい貴方の頬に触れながら問いかける。「ねぇ、あなたなら今日のこの道をどう選んだ?」あなたはこちらを見つめたまま、何も答えない。私はまだ、しっかりとした自信を持てずにいた。あなたが一緒に戦ってくれていたあの日が、... -
短編
🎄『新しい朝』 12月12日
深い闇のような黒が、少しずつ色付いていく。燃える炎のような、生命の躍動を感じる真っ赤な世界へ。氷のように冷たい風は、その温度を引き立たせる。赤に近付こうとするほど、その色は褪せていく。少しずつ変わっていく色は、この世界のようで、儚く美し... -
短編
🎄『水鏡』 12月11日
それは、霧の濃い満月の夜だった。私はいつものように、月の美しい姿を差し出していた。月は満足そうにほほ笑み、星たちと流星群の出番を決める話や、織姫と彦星の噂話をして楽しそうにしていた。眠りについた森の木々や動物たちは影になり、私と話してく... -
短編
🎄『プレゼント』 12月10日
強くなりたかった。君を守るために、誰よりも強くて、優しい人になりたかった。そのためならなんだってする覚悟があった。この命をかけて君を世界一幸せにしたいと思っていたから。ある日、見知らぬ女が君を横目に鼻で笑って通り過ぎた。そんな日の夜は、... -
短編
🎄『サンタクロースになった日』 12月9日
いつも、天井を見上げながら思っていた。意識を交換して、誰かの1日を過ごしてみることは出来ないかと。例えば、友達と。例えば、ワンちゃんと。例えば、テレビの中の人と。だけど、どれだけ頑張ってもそれはできなかった。体と意識はどうやって固定されて... -
短編
🎄『スノードーム』 12月8日
朝起きるとからっぽになっていた。ここには、キラキラ光る小さなカケラとか、どこかで見つけた珍しい形の石とか、ラムネに入っていた綺麗なビー玉とか、私の宝物がたくさん入っているはずだった。からっぽの瓶を眺めていると、そこには初めて感じる感覚が... -
短編
🎄『Time space traveler』 12月7日
ここだけの話だが、私は、この世界のパラレルワールドを行き来して生きているんだ。どこかで噂話として聞いたことがあっても、それが本当だって聞いたことがある人はあまりいないだろ?今君が見ているこの世界と、両極に並んだ世界も同時に見続けて生きる...
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