今にも雪が降り出しそうな、分厚い雲に覆われた夜空は、街の明かりを吸い込んで、仄かに薄いグレーの光を放っていた。
月の見えない空を見上げ、しんと静まり返った街を見渡しながら、つめたく冷えた手を合わせ、そっと息を吹きかける。
この街の人たちが、自分の手を温めるたび、雪雲は分厚くなっていくのかもしれない。
ふと時計を見ると、いつの間にか日付けは変わっていた。
午前2:26。
煌びやかな街を少し外れ、影に包まれ静まり返った路地を歩いていると、
サンタを待ちわびて眠りについた、子供たちの穏やかな寝息が聞こえてきそうだった。
そう、今日はクリスマスイブ。
私はこうして、毎年変わり映えのしないクリスマスを迎えてきた。
たぶん世界一、ホワイトクリスマスに貢献してきたんじゃないかと思う。
ねぇ、サンタ。そろそろ私にもクリスマスプレゼントを届けに来たらどう?
目を細めて遠くの空にその姿を探してみても、分厚い雲たちが目隠しをしているみたいだった。
通りを照らすように置かれた自動販売機の光に吸い寄せられ、私は缶コーヒーを買った。
冷えた手で缶を包むと、じんわり温かさが伝わってきた。
ピンと張り詰めた空気に、コーヒーの香りが広がった。
一口飲むと、空に昇る雪雲のカケラたちと同時に、温かな涙の粒がポロポロと流れ落ちた。
この涙が地面にたどり着く頃には、多分雪に変わるに違いない。
今年はホワイトクリスマスだ。
だからサンタ、早く私に会いに来てよ。私を見つけてよ。
心の中で小さく呟くと、空から粉雪が舞い降りてきた。
そっと手のひらで受け止めてみると、
少し温かくなっていた私の温度が、また少しずつ冷たくなるのを感じた。
*この物語は、2025年12月24日に note と X に投稿したものを転記したものです。

