🎄『新しい朝』 12月12日

Image by Grok

深い闇のような黒が、少しずつ色付いていく。

燃える炎のような、生命の躍動を感じる真っ赤な世界へ。

氷のように冷たい風は、その温度を引き立たせる。

赤に近付こうとするほど、その色は褪せていく。

少しずつ変わっていく色は、この世界のようで、儚く美しかった。

一面にひまわりの花が咲いたような、優しく力強い黄色は、ふわりとした温かさを連れてくる。

そこに広がるのは、優しさと美しさで満たされた、この世界本来の姿だった。


私はこの景色を、ただ見ていたかった。

全てがありのままの、優しくて美しい世界を。


遠くらから鳥たちの歌が聞こえてくる。

どこかで、ドアを開ける音がする。

おはよう。

いってきます。


また朝が始まる。


私の世界は閉じていく。誰かの新しい朝が輝き始める。

そこには、みんなの笑顔が並んでいた。

「おはよう!朝起きたらサンタさんからプレゼントが届いてたんだ!」

誰かが嬉しそうに駆け寄ってきた。

自分が好きなアニメキャラクターのグッズとか、ずっと欲しかったゲームとか、大きくて可愛いぬいぐるみとか。

それぞれの朝に届いたプレゼントを報告し合っていた。


私は夢の中に生きている。

みんなが笑顔でいられる、素敵な世界の夢の中を。


胸が締め付けられ、流れ出した温かな何かが、私に送られたクリスマスプレゼントだったのかもしれない。

夢の続きのような優しいぬくもりが、私の胸の奥にそっと灯った。


*この物語は、2025年12月12日に note と X に投稿したものを転記したものです。

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