「世界一のマジックショーへようこそ!
今宵は、私のマジックで、人類が未だ見たこともないほど美しい天体ショーをお見せしたいと思います。
日常を忘れ、幻想的なひとときをお楽しみください」
マジシャンは、右手に持っていたステッキでトン、トン、トンと、大きなシルクハットを叩きながら、「ワン、ツー、スリー!」とカウントした。
合図と共に、観客たちの視線は、ステッキの指す夜空へと向かう。
シルクハットから次々と星が飛び出し、真っ暗だった広場を一瞬で明るく照らした。
観客たちは歓声を上げ、目を輝かせる。
その光は、観客たちみんなの夢のカタチ。
それは真冬に見る花火のように、流れては儚げに消えていく。
その美しさに、誰もが魅了された。
こんな景色をずっと観ていたい。誰もがそう願った。
その瞬間、
「ワン、ツー、スリー!」
大きな声とシルクハットを叩く音が聞こえた。
観客たちの前には、リボンがかけられた小さな箱が浮かんでいた。
それぞれ違う色の包み紙とリボンでラッピングされている。
観客たちが両手を差し出すと、その小さな箱は手のひらの上に、すとんと落ちてきた。
「みなさんへ、少し早いクリスマスプレゼントです。どうかこの夜のことを忘れずにいてください」
そう言い終わった瞬間、マジシャンの姿は見えなくなった。
小さなプレゼントの箱の中身は、その会場にいた観客たちだけが知っている。
*この物語は、2025年12月3日に note と X に投稿したものを転記しました。

