🎄『最後の贈り物』 12月13日

一日の終わりにはいつも、冷たい貴方の頬に触れながら問いかける。

「ねぇ、あなたなら今日のこの道をどう選んだ?」

あなたはこちらを見つめたまま、何も答えない。

私はまだ、しっかりとした自信を持てずにいた。


あなたが一緒に戦ってくれていたあの日が、随分昔のことのように感じる。

私たちはいつでも最強の相棒だった。

背中を任せられる相棒を失った私は、毎晩こうして不安に押し潰されそうになっては、なんとか堪えて生き延びているだけだった。


誰かの命を救うことに、何の意味があるのだろう。


一番大切なあなたという命を失って、それでもなお、誰かの守ることの意味など、どこにも見当たらなかった。

ただ、涙が頬を伝って床に落ちていくのを見つめてるのが精一杯。

それなのに、あなたは私を抱きしめてはくれないし、慰めてもくれずに、ただ天井を見つめ続けているだけ。


私がこの部屋に居られるのは、せいぜい30分が限界だ。

私の指先は温度を失い、白い息がまつ毛を凍らせていく。

この地下室で、あなたに触れ、あなたの存在を確かめられる。それだけが私に生きる意味を与えてくれていた。


「クリスマスには、いつもみたいに一緒にパーティーをしようか」

そう呟くと、あなたの瞳が頷いたように見えた。


外に出るたびに、浮かれたクリスマスの空気が胸に刺さり続けていた。

あなたのいないクリスマスなんて、何の意味も無いと感じていたから。

何度も拭った誰も知らない私の涙は、いつの間にか空を舞い、街頭に照らされてキラキラと輝いていた。

からっぽになってしまった私の毎日にも、あなたの優しさが降り注いでいるみたいだった。


あなたとの本当の別れを決めた日、私はようやくこの世界に戻って来れたのかもしれない。

あなたが私に残してくれた最後のプレゼントは、

あなたのいないこの世界をじっくり味わい尽くす、この時間だと気付いたから。


*この物語は、2025年12月13日に note と X に投稿したものを転記したものです。

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