フロントガラス越しに見える街並み。
週末の夜の気配はどこか楽しげで、
空気が跳ねて見える。
前を走る車のブレーキランプも、
ビルの壁に取り付けられた電飾看板も、
年末年始の街を盛り上げてくれたであろうイルミネーションの欠片たちも、
行き交う人々の足取りも、
全てが私を置き去りにしたまま、通り過ぎていくみたいだった。
人々は皆、肩をすくめながら、白い息を空に放ち、楽しそうにおしゃべりをしている。
隣にいる仲間たちと寄り添いながら、明かりの中に消えていく背中が眩しい。
私は、さっきコンビニで買ったばかりのブラックコーヒーのカップを両手で包み、
少し冷たくなっていた手のひらを温めながら、
車内に広がる香ばしい香りに満足している。
暖かいはずの車内にも、
外の世界の冷たい空気がそっと張り付いていた。

